アーバンライナー

久しぶりに昔のブログを読んだら、あまりに自由で怠惰だった生活を思い出して、泣きたくなるほど羨ましくなった。ブログを書く時は大体雨が降っていたことに気が付き、少し笑った。今は近鉄に乗りながら名古屋駅を目指している。空はまさに秋晴れとしか言いようのない、澄んだ青をしている。

入社して約半年が過ぎ、社会人としての毎日にも慣れてきた。関西支社に配属になり、居住地を住み慣れた仙台から尼崎へと移したことは、私の毎日を否が応でも変えてしまった。弊社から割り当てられたレオパレスは、驚く―2ちゃんねるを読んで事実を知っていたとしても驚く―ほど壁が薄い。大きな川が多い。汚い浮浪者も多い。野良猫も多い。神戸に近いし梅田にも近い。会社は学校みたい。建築業界は理不尽。コンロはやっぱりガスが良い。阪神戦ばかり放映される。お兄ちゃんがいないのでアニメを見ない。彼氏が出来た。友だちもできた。同行は楽しい。強引な車線変更は危ない(大きな事故を2回見た)。
今は電話を取りながらの業務なので、毎日沢山文字を書く。入社してからボールペンとノートを消費した数は、明らかに大学四年間のそれと比較にならないほどだ。でも、それらは誰に宛てたわけでもない、仕事が終わってしまえば何の内容も持たない文字の羅列であって、私の書きたい文章ではない。ブログも特に特定の誰かに向けたものではないけれど、ここには私の感情が詰まっている。読めば当時の情景が温かな息を吹き返す。そういった文章を書くのは本当に久しぶりのことで、ただ単純に、衝動的に設けたこの場を途絶えさせたくないと思う。


視線を上げると、いつの間にか車窓には目に痛いほど緑の果樹園が広がっていた。今日は暑くなりそうだ。黒のカーディガンを脱ぎ、畳んで黒のトートバッグにしまった。今日は黒地に白の小花柄の箱ひだのワンピースを着ている。去年の自分の決意は虚しく、今年も私は黒ばかり着ている。