街にはどこもかしこも金木犀の匂いが溢れていた。家を出た頃に降り出した小雨はいつの間にか止んでいた。赤信号で止まった隙にGAPパーカーのフードを脱ぎ、Googleマップを確認する。投票所まではあと五分ほどの位置まで来ていた。今から私は知らない町の知ら…
JR大阪駅の中央改札口前は、待ち合わせをしている人々で混雑していた。私は大きなトートバッグを両手に抱き抱えて人の波を縫うようにしてその中を通り過ぎた。551の前あたりで、おそらくアプリで出会ったであろう男女が敬語で話しているのが聞こえた。かつて…
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